田中角栄元総理の話 仲俊二郎著
2015年 03月 11日
阪神淡路のときもアメリカのテロの時も、人の不幸を映画のようにみる恐ろしさを感じました。あれから四年、復興はまだまだ、特に悲惨なのは福島の原発事故。気の毒で気の毒で・・・言葉がない。なんとか早くいい方向になったらと心から願いします。そして70年前、日本は無差別の原爆、空爆で150もの町が焼けてしまいました。特に東京大空襲、原爆・・・いくら戦争中といえ・・なぜそれを日本人はあまりにも残酷な行為に対して怒らないのか、怒りの声をあげないのか・・・。もうすんだことでも・・・あの惨事を、大殺戮を世界の人に知ってほしいものです。日本ばかりが責められるなんてあまりに不公平。
ところで、戦後の日本を繁栄に導いた一人の総理、田中角栄元総理についての本を読みました。仲俊二郎氏の「凛として」の本があまりに感動だったので、図書館の本を借りました。
田中角栄元総理は偉大な人だったようですが、ロッキード事件の賄賂で大変な問題になり、失脚した方です。長い間その事実関係が追及されていて、それほどお金に汚い政治家だったのかという悪い印象しか私にはありませんでした。後に娘の田中真紀子氏が政治家になって、氏の言動や発言からよけいに嫌悪感をもっていました。ようは日本が好きでない、中国寄りの政治家と感じていました。真紀子氏のことは別にして、この本を読んで田中角栄元総理のことを大変誤解していたことが分かりました。
日本が大変な時にいろいろと苦労して日本の為に活動していた方なのだとわかりました。田中氏のお陰でアメリカに屈することなく沖縄返還がなし得たことも分かりました。あの返還の陰にどれだけの田中さんの功績があった、そのために後に田中氏がアメリカのキッシンジャーたちの陰謀に引っかかってしまって失脚の道を転がり落ちたか知りました。金権政治家の異名があるほどお金集めが上手でしたが、それはどん底から這い上がった根性、気力、知力で集めたもので、やましいものではなかったのです。本の内容には多少、著者のひいきもあるかもしれませんが、それでも田中元総理はりっぱな政治家だったのだと思いました。田中氏は結局日本を手のひらで操りたいアメリカの思惑にはめられたのです。白でも黒として問題をつくり、徹底的にたたきつける日本のマスコミ、権力者を葬りたい法律家、田中氏から総理の座を奪いたい人達によって、無残にも汚職者に祀られてしまったのだと知りました。無実を訴えて、10年以上戦った田中氏でしたが、無罪を勝ち取れず亡くなってしまいました。
無残にもはめられて犯罪者になる人がいます。先日も若い市長がそうでした。それは無罪になったからよかったですが。
かなり以前私の父も賄賂問題でとらえられたことがあります。まったくの無実の罪でしたが、いちどホシとして狙われたらとても覆すことがができない取り締まりだったそうです。でも父は頑として無実を叫び、やがて結局認められましたが、そのときのことを詳しく話していました。新聞でもひどく叩かれ「ペンの力の恐ろしさを感じる」と母の嘆き、悔しがって泣いていました。ですから田中元総理がマスコミや他の政治家たちにはめられたり、執拗にたたかれたりしたのはあり得る事だと思います。
仲氏の本ではそのあたりが詳しく書いてあります。「読売新聞の調査によると、昭和で一番印象に残り、影響を与えた人の一位は田中角栄、二人目は美空ひばりであった。日本人が一番元気で溌剌とした昭和という時代にこの二人に巡り合った私達は、希望を捨てず、未来に向かっていく共有の認識を持って、生きていったことはまぎれない事実であった」とても印象的な文章です。