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脳神経外科の脊椎の手術を受けての体験記 

  1. よい医療(医者、手術の手法)の出会い

「よい医療に出合いましたね」、日頃お世話になっている整体師の方が私の姿

を見て言われた。どちらかというと手術の成功に懐疑的だったその方が「手術の仕方でこれほど違うものか」といたく感心された。

その方は体の痛みを訴え、施術する多くの患者さんと接した長年の体験でそう思ったのだ。そして「よい医療に出会うこと、これはもう運ですな!」と言われた。

今回私もよい治療、医者を求めてあちらこちらに行った。しかし、良いか悪いか素人的には判断しかねる。だからよい医療に出会う事は「運」というのももっともなことかもしれない。

出会いは「運」とは、脊椎関係だけでなくどの病気でもいえるかと思う。病気治療の判断や方法は医師によって違うことが少なくない。だからセカンドオピニオン、それ以上のアドバイザーも必要なことだと思う。

よい医療を求めて必死になるのは、患者にとって一つしかない大切な命、大切な体だから、当然のことだと私は思う。自分の体の責任は人ではなく、自分でとらなくてはいけないのだ。

私は脳神経外科の医師との出会いで救われたと思うが、その脳神経外科の医師の見立ても、手術の仕方も、病院や医師によっていろいろあることが後に調べてみると分かった。

どの方法が自分にとってベストかは、それぞれが自分で調べ、診察してもらうしかないと思うが、素人的には判断しかねることが多々ある。

「医者との相性もある」とはよくいわれることだが、それが納得いく医療ということかもしれない。

あちらこちらの病院を訪ねたHさん、最後はインターネットで徹底的に探して出会った医師に「この医師にお願いしよう」と直感で決めたそうだ。まさに「出会いの運」かもしれない。

ところで、脊椎関係の治療は「整形外科」としか思っていない人が多いと思う。私の近辺には誰一人として「脳神経外科」を思う人はいない。

ある日、脳神経外科の医師に出会い、「脊椎は脳の一種。脊椎には細かい神経がたくさんある場所。それは細かい脳神経と血管を扱いなれた脳神経外科の得意とするところ。脳を手術する精巧な機器と細かい神経を知り尽くした脳神経外科ならではできる難易度の高い手術がある」という言葉を聞くまで、私もまったく想像もしていなかったことだ。

 日本ではまだまだ脳神経外科の脊椎手術の認知度は低いようだが、欧米では

六割くらいの患者が脳神経外科で手術を受けている。岡山県内でも岡山市済生

会病院、岡山大学病院等まだ数は少ないと聞いている。

世の中、腰痛で困っている人が多い割に、整形外科の手術のイメージしかな

いのはもったいないと思う。脊椎、脊髄は脳の一部で、脳を手術する精巧な機器と腕で脊椎の手術を扱う脳神経外科の存在が広く認知されるといいと願う。

  1. 手術のタイミング

    手術を受ける体の状態

       手術の時期、手術を決意する時

同じ医師の同じ手術でも、その人の体の状態によって結果が違うかもしれないのは当然だ。それは自分に合っていなかったのでも、相性が悪いのでもない、手術を受ける患者の状態に左右されるようだ。

「手術を勧める時期の判断は医者によって違う」と脳神経外科の出前講座で言われていた。

整形外科での脊髄関係の手術判断は多くの場合「かなり悪くなって、歩けなくなったり、神経障害がでたら手術をしましょう」と言われると聞いている。手術のリスクを考えて、良くなることよりも、それ以上悪くしないために、ぎりぎりまで待つのだということを言う人もいる。あるいは手術のリスクを避けるために積極的に手術は勧めないとも聞いている。

しかし脳神経外科では「あまり悪くなると治りが悪い」といわれている。特に神経はいためた期間が長いほど回復が難しいそうだ。だいたい三か月薬を飲んで効かなければ手術も考えた方がいいということを聞いたことがある。

「悪くなりすぎると治らない、治りが悪い」ということを患者は理解しておかなくてはなければならないのだと思う。

よく聞く「手術を受けたけどあまり治らなかった」というのはもしかして、医師の腕のせいではなく、時期が遅すぎたのかもしれない。

『腰椎手術は怖くない』の著書は「手術時期が遅すぎると神経障害が残ることがある。神経が自力回復できる力を失ってしまったら神経機能障害が起こり、後遺障害となる。普通に歩いているように見えても、筋力低下が明らかに存在して、筋委縮が進んでいる患者も少なくない。十年間保存療法を続けた挙句、手術は手遅れと言われた患者がいる。手術のタイミングが重要」と述べています。

手術は受けないと決意していた私、癌も手術で取らない治療法を選びたいと思っている私にとって、適度な時に手術をした方がよいということは大きなカルチャーショックだった。

もちろん、手術を勧めるどの医師も温存療法を否定している訳ではない。誤解や偏見によって手術を先延ばしにして、治るものも治らなくするのはやはり考え物のようだといわれる。

手術は誰しも怖い物、避けたいもの。しかし、病気は早期発見、早期治療といわれる。とことん悪くなるまで延ばすより、適当な時には手術を決断するのも必要な事だと思う。その為にはやはり情報。最近は、ネットで探せば全国にあるよい情報が得られる時代だということ、幸せな時代だともいえよう。

ところで、私の手術の時期はどうだったかと振り返ると。

少なくとも手術の二年前、最悪まで悪くなった頃手術を受けるべきだったかと思うが、その時は脳神経外科医との出会い等夢にも思わぬことだったので、私はとても決断ができなかったと思う。

悪くなったことが分かった当時、最悪のことを考え、岡山市の有名な病院で診察を受けた。そして手術について尋ねた。しかし「あなたが手術で治るなら、廊下で待っている人はみんな治ります」と言う返答。  

六時間待ちの私になんとつれない言葉だろう思ったが、「六時間も診察をし続けている医師はこんな患者ばかり診ているといい加減くたびれてくるでしょう。あの言葉も無理からぬことか」とかえって同情した。

つまり手術はもっともっと悪くなった人がするものだということだろう。後で「神経障害、排泄障害が出てきたらまた受診を勧めてください」と紹介状を書いて送ってくれた私の主治医宛に返信があった。

手術を決断させるよい医療との出会いもその人の「運と縁」かもしれない。

「チャンスの神様は前髪がない」といわれるように、「そうだ」と思った瞬間飛びついたことがせめてよかったと思う。

➂「後は養生」

養生とはリハビリと時間

今回、リハビリがどれだけ大切か、身をもってよく理解できた。

脳神経外科の医師からも整形外科の医師からも「リハビリしなさい」「運動しなさい」「動きなさい」とよく言われた。

「手術した後は筋肉が弱っているから運動が大切。運動は続ける事。どんなによい運動方法も続けなければだめです。健康を維持していくのには死ぬまで運動する事です」

「それって年寄りはみんなそうではないですか」

「まあそうですね。あなたくらいの年になると筋肉が弱るから運動して、筋肉強化しなければならないのです」

手術が成功して悪い所が改善されても、一度痛めた体を回復させるのにはやはり時間がかかるようだ。手術によって傷ついた筋肉を使いやすくするリハビリが不可欠だが、それだけでなく、悪くなった頃から筋肉の痛み、や歪み、その歪みによる痛みの改善もリハビリをして改善しなければならないのだ。

リハビリは三段階で必要なことを私は体験を通して理解した。しかも時間をかけて少しずつ、焦らず、ゆっくり、コツコツと。つまりそれが養生ということだろう。

さらに、手術で治った場所をいつまでもよい状態に維持させるには、それを支えている筋肉、体全体の筋肉を上手に鍛えていかなければならないのだ。いわゆる筋トレというものだが、強く、激しく、力強くではなく、ゆっくりとした方法で筋肉を鍛えていくことが大切だと分かった。

「リハビリは大切よ。しっかりリハビリした方がいい」と事故で手を骨折した

Tさんから言われた。彼女は骨が完全につくまで固定した後に、リハビリ受け

た。それは医師の勧めではなく、事故の処理をしてくれた保険屋さんの勧めで

あったらしい。骨折した部分がついても、手は日常使える状態に戻さなければ

治ったとはいえない。筋肉が固まってしまってから歪みや使いにくさに気づい

て改善しようとしても難しい。やはり治療した最初の流れでリハビリをした方

がいいということを教えてくれた。

 狭窄症の大手術の後、順調に回復していたが、やがて体中の痛みを感じるよ

うになった人がいる。CT等の検査の結果はどこにも異常はない。あれこれ調べ

た医者も原因が分からないという。あちこちが痛くてたまらない。

その人の様子をよく聴くと、回復リハビリ入院をまったくしないで退院してい

るし、そこの病院関係のリハビリにも通っていない。どうしてそんなことになったの知らないが、手術が成功していて問題ないと医者から言われているならその痛みは筋肉の問題ではないかと私は想像する。

私の回復途上にもいろいろな個所が痛くなって、不安がいっぱいだった。しか

し、関係者からリハビリして筋肉を鍛えるしか回復の道はないと口を酸っぱく言われて、気長にリハビリを受け、運動を続けているうちにだんだん楽になってきた。

私にはとても信じられないが、手術後の回復リハビリを必ずしも必須にしない

医師もおられるようだ。外野のいろいろな声が煩わしい事もあるが、助かる事もある。いろいろとよく聞いておくべきだと私は今回思った。外野からいろいろと教えてもらって助かった。

 「あなたはリハビリ入院をしてゆっくり治しなさい」という担当医の言葉が今面ながら神様のメッセージのように有難く感じている。

 盲腸癌の発見が遅く、かなり進行していて骨まで切り取った知人がいる。三

回目の手術では太ももの神経の一部を排除した。だから歩きにくいのだが、そ

れでもリハビリに通うと少しは楽に歩けるという。

またある人は腰椎狭窄症の手術の失敗で神経を痛め、とても歩きにくい体になってしまったが、それでもリハビリをしているうちに改善してきたということだ。

そのように最悪になっても諦めずにリハビリしていると何らかの改善効果があるようだ。リハビリの驚くべき威力を感じた。

二十代でヘルニアの手術をした人に出会った。内視鏡だったらしいが、やはり術後は一カ月のリハビリ入院をしてリハビリをしたと言われた。

一週間の動けない生活で筋肉ががたんと落ちてしまったということだが、年は関係ないものと理解した。若くても年を取っていても、リハビリは大切なのだ。

だから、「手術の成功を決めるものはリハビリ」と言っても過言ではないようだ。たかがリハビリ、されどリハビリ、リハビリの驚くべき威力を感じている。


by nizicanvas | 2015-09-23 22:05 | 健康

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